COMMENT
カルロス・ククレジャ■スペイン ミュージシャン
どれだけの数の映画が、人間のリアルな物語をこれだけ印象的に表現できるだろうか?
『アワ・ブリーフ・エタニティ』は、一歩、一歩と進んでいく現実的な人間の人生を、可能な限りリアルに投影している。
これはまさに、「人生という道の上を歩く映画」だ。
切通理作■評論家
「恋愛もの」要素だけでなく、都市が人々の時間意識を奪うことで、個々の生活実感をバラバラにして記憶をなくしてしまう。主人公の30男は、都市そのものの不確かさの象徴なのだろう。『OUR BRIEF ETERNITY』は「僕たちのはかなき永遠」といったことでしょうか。インスピレーションが湧いてきそうなタイトルですね。
佐藤佐吉■脚本家・監督 公式ブログ http://ameblo.jp/einlandarzt/
SF的世界観はあくまで男と女の“愛”と“運命”の存在を問いただすための手段でしかない。この野心作は究極の恋愛映画であり、叫びにも似た福島監督の希望への祈りでもある。役者の演技が本当に素晴らしいが、毎度美味しいところを持って行ってしまう監督ご本人の出演シーンが憎たらしい。
サトウトシキ■映画監督
とても色気ある映画だ。
主演する草野康太がいい、色っぽい。
おもしろい役者になってきている。
しじみ■女優 公式ブログ http://ameblo.jp/cizimikaikai/
先日地元の島根県に帰ったら、
同級生の子供が、赤ちゃんではなくもう子供になっていたのでびっくりしました。
それもそのはず。私ももう東京へ来て7年目。
上京したての頃は、いかがわしいキャッチにやたらと声かけられたりしていたのに、
今ではすっかり東京の風景に紛れ、身を任せ、漂っている内の一人だもんなあ。
7年経っても、あと何年経っても、きっとそれなりに、心地よく東京を漂う生活を続けているんだろうなあと、思いました。
そんな都会の中で、時に無機質に生きていかなくてはならない私たちには、大切な人の記憶なんて、もしかしたら必要ないのかもしれません。そう考えると、エマノンウィルスも、精神系の現代病のようにも思えてきました。
“失って初めて気付く”という言葉があるけれど、
この映画によれば、記憶を失って初めて、誰が自分の本当のステディだったのか、分かるみたいです。
記憶を失って、それでもまた出会ってしまったら、それはもう運命。
世に言う一目惚れっていうのは、エマノンウィルス感染者の出会い直しの事を言うのかもしれませんね。
私だったら誰を忘れるんだろう?
うーん。なんか、忘れられるほどの異性の心当たりがないんですけど‥。
そう思ってしまう私もすでに、感染者なのかもしれませんね。
早く出会い直しをしたいものです。
福嶋真砂代■ライター
この映画、私は少なからず衝撃だった。
その衝撃は、ドカーンという感じではないんだけど、ズズズズーーーーっと、キター!っていう、なんていうか、地響きおこしてる。
まず、ものすごく「文学」だった。
草野さんのモノローグがものすごくいい。
彼のモノローグのすばらしさにすぐにこの映画が好きになった。
もちろん、脚本もおもしろくて、監督曰く、
「音楽、映像と同時に、リリックでグルーブを作る」
そんな映画を作るエクスペリメントでもあるんだって。
なかなかですよ、って僭越ですけど、つい園子温さんがアタマにチラついて、疾走感も含めて。
エクスペリメンタルなところも。
真理アンヌ■女優 公式ツイッター https://twitter.com/mariannu520
愛する人の記憶すらなくしてもいいほどに、どうでもいい荒廃した世界で繰り広げられる物語。それは、私自身の奥底にある闇をスクリーンが映しだしているのか? 私が清順監督の『殺しの烙印』、『ウルトラマン』のパティ隊員や『11PM』のセクシーマスコットだった時代に、この映画は登場しえなかったと思う。テルとミオは、アダムとイブのようにエデンの園を追われてさまよう。そうしてふたりは、便利で快適な贋東京でなく、ふたりの東京をさがしはじめる。私も、東京をさがしに行く準備はできている。
村松正浩■映画監督 公式サイト http://smalllight.net/
『アワ・ブリーフ・エタニティ』を観ていろいろ思うところがあった、これを撮りたいんだという情熱が見えまくる映画というのはめったにない。